涙が雨に変わるまで
プロローグ
「あたしたち死ぬかもしれないのかな」


珍しくあたしは方言を、使わずに言った。

雨は降り続ける。


「なんでそう思う?」


手のタトゥーを隠しながら、香月も方言を使わずに、聞き返した。


「あたしたちは本当にいらない人間? あの人たちの言った言葉は、全て真実だと思う?」

「思わない」


全く自信のなさそうな声。

そうだろう。


「今までがキレイ事だったんだ。もう世界があたしたちを、いらない人間にしてしまった」


雨季がうらやましい。

タイムリミットのついているあたしたちより、ずっと長い未来があるんだから。

その長い未来で、こんな世界を変えられる人に成長する可能性だってある。
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