涙が雨に変わるまで
もう、たくさんの物を欲しいなんて言わない。

一つでいい。

いらない人間だから、一つだけ。

願いを叶えさせて下さい。

「香月と、ずっと一緒にいたい」


それだけ。


「生まれ変わったら、あたしも雨季みたいに生きられる?」


解はなし。

この降り続ける雨は、めぐりめぐってあたしの涙になる。

こんなに降っているのに、何も洗い流してくれない。

透明で、めぐりめぐるだけ。

涙雨石にそっとふれた。

今は絶望の中、この石だけが唯一の希望だ。

お願いします、香月とずっと一緒にいさせて下さい。


「美雨」


香月があたしのタトゥーをなでた。


「生まれ変わっても、一緒にいたいなあ」
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