黒のA【GAULOISES番外編】
一方、
その雰囲気に圧され、それなりに長身な自分よりも更に上から見下ろす細い切長の鋭い視線に慣れないだけじゃなしに、かなわない直感をよぎらせながらも思わず負け犬のように吠えるのは仕方のないことかもしれない。
「誰だよ、アンタなんか知らねぇよ。関係ねぇだろっ!」
吐き出す言葉の数より、遥かに飛び散るツバのほうが多い。
だが、確実に上部に位置する余裕な相手の表情には届かない。