空になんか憧れない
大切な家族を奪われた。
もう戻らない、大好きなお姉ちゃん
心の傷は、すぐには癒えない
「…けど」
「?」
彼女が望むのはきっと、
「…私も、お姉ちゃんみたいにあなたたちを信じてみたい。
復讐とかそんなのじゃなくて、ちゃんと、受け入れて、お姉ちゃんと同じものを見てみたい。
お姉ちゃんが大切にしてたものを、今度は羽鳥としての“アタシ”じゃなくて、岸田波としての私で…」
私と、そして彼らの幸せ
「…えっ?」
ただ、それだけなんだよね?
「…時間が欲しいの。頭のなか整理して、そしたら今度はちゃんと……
…だから、それまで私を、待っていてくれる?」
だったら私は憎しみも悲しみも全てを捨てて、お姉ちゃんの願いを叶えてみせるよ。
どんなに辛くて果てしない道のりだったとしても、大好きなお姉ちゃんの望んだことを。