A mermaid's tears
さぁ、バイトへ行こう!
青い空!
白い雲!
「やって来たぜ、こんちくしょー!!!」
そう言うと私は腕を空に向かって突き上げた。
今年、高校生になった私。
そして回りでは何とか先輩がカッコイイだの、誰と誰が付き合ってるだの、周りは確実に変わっていく。
別に誰かと恋愛したいとかじゃなくて、私もとにかく何か新しい事を始めたくて悩んでいた。
そんな時に目に映ったのは、とあるバイトの広告。
『長期バイトの方募集。
交通費・宿泊費・その他の費用はこちらで負担致します――』
それからの行動の速さと言ったら、もう世界一なんじゃないかって程速かった。
速攻で家に帰り、両親を説得して、そして荷造りして――今に至る。
新幹線に揺られて数時間、さらにバスに揺られて数時間。
その後で降り立った町は自分の生まれた都会とは全然違って、静かでそして何より緑が多い。
うん、やっぱり来てよかったよ。