愛されて
「遥香、あんた…まだ洋平君と付き合っているんだって?」

ママの突然の言葉。

「えっ!?」

「今日、ポストにこれが入っていたの…」
ママが封筒から1枚の写真を取り出した。

そこには…抱き合っている私と洋平の姿があった。

それは…あの日。
始業式の日。
泣いていた私を優しく抱きしめてくれた洋平。
その写真だった。

誰かが…あの時、写真を撮って。
うちのポストに…

私が考えていると…

ママが私の頬を叩いた。
「遥香。どうしてママの言うことを聞けないの?洋平君と別れなさい。いい?ママは遥香のためを思って言っているの。遥香は今は恋よりも勉強が大切なのよ…」

自分の大切なものぐらい自分で決めたいと思った。

でも…そんなこと。
ママには言えない。

ねぇ…おばあちゃん。
私が家出した時、自分の気持ちを大切にしなさいって言っていたよね?
それが大人になることだって…

私はまだ…大人にはなれないよ。
ママに怒られるのが恐い。


ううん。怒られるのがこわいのではなくて。
見捨てられるのがこわいのだと…
私は気づいた。
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