愛されて
「あー疲れた…」
歩ちゃんは帰ってくるなり、ソファーに寝転んだ。

「行儀が悪いわよ。愛香は?」

「マナは拓也が迎えに行っているよ…たまには、拓也もマナと2人きりになりたいんだよ…」

歩ちゃんが私の顔を見た。

「遥香…何か、顔赤いよ。どこかでぶつけたの?右の頬…」

「うん。体育の時にボールが当たって…」

「ドジね。気をつけるのよ…」

笑いながら、歩ちゃんが言った。

「ただいま…」
拓也さんと愛香が帰ってくると、歩ちゃんはソファーから飛び起きた。

「まま…」

「マナ。おりこうにしていた?」
歩ちゃんが愛香を抱きしめて言った。

私は…歩ちゃんの顔を見て。
ドキッとした…

愛香が帰ってきた途端、歩ちゃんはママの顔になっていた。

学校で見せる笑顔とは…全然違う優しくて。
愛しそうな笑顔。

今まで…全然気づかなかった。
気づいたのは私が妊娠したから?
私も歩ちゃんと同じママになったから?

私は思った…
ママになるなら。
絶対に私のママみたいにならない。

歩ちゃんみたいなママになる…
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