愛されて
次の日。
「おはようございます」

と私はキッチンに入った。

おばあちゃんから何か言われるのではないかとドキドキした…

だけど。
おばあちゃんは何も言わなかった。

私は…無視されていた。
梨香からも…
おばあちゃんからも…
ママからも…

まるで…私が存在しないかのように。
おばあちゃんたちは振る舞っていた。

唯一、パパだけが
「おはよう」
と返してくれた。


すると…おばあちゃんが
「亮輔。うちがイヤで出て行った娘とは口をきかないで…空気が汚れます」
と言った。

「遥香に帰ってきてもらったのは…あまり長く家出していると、近所の人にいろいろと言われるからよ…」

さらりと言うおばあちゃんに。
私は呆気にとられた。

そんな…私を見て。

おばあちゃんが
「遥香、前みたいに話してもらいたいなら…女子大付属に合格することね。あなたは1回出て行ったことで、この家の娘ではなくなったの…」
と冷たく言い放った。

この家の法律家はおばあちゃんなので…
誰も…何も言わなかった。
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