愛されて
赤ちゃんの泣き声は…
分娩室の外にいる歩ちゃんの耳にも…
おばあちゃんの耳にも聞こえていた…

「本当に産まれたんだな…」
パパの言葉に歩ちゃんが
「うん…」
と頷いた。

その時。
足音が聞こえてきて…

洋平と洋平の両親がやって来た。

「すみません。うちの息子が…大事な娘さんに手を出して…」

洋平の両親は…ママたちの顔を見るなり、頭を下げた。

「私たちは今日まで、遥香さんが妊娠していて…その相手が洋平だと知りませんでした…それも…もう産まれるなんて」

洋平の両親も動揺しているようで…
ただ…謝らなくてはと思っているみたいだった。

「先生…遥香は?」

心配そうに洋平が聞いた。

「遥香なら…さっき、赤ちゃんを産んだわよ」

歩ちゃんが答えた。
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