愛されて

僕は…

私が眠りについた頃。

ママたちは。
病院の会議室みたいなところにいた。

「おめでとうございます。元気な女の子のお子さんです…遥香さんも元気です…」

お医者さんが言った…

みんな…何も言わなかった。

「本当に遥香が子どもを産んだんですか?あの子はまだ15歳で…まだまだ子どもなんですよ…」

ママが泣きそうな声で言った。
ママはまだ…信じられてないようだった。

「本当です…15歳でも立派に赤ちゃんは産めるのです…15歳の出産だと、いろいろなリスクがあるのですが、母体も赤ちゃんも元気だというのは奇跡です…」

お医者さんが言うと。
ママが…

「奇跡なんて…起きなくてもよかった…」

「由香」

ママの言葉にパパがママを叱った。

「だってそうでしょう。15歳で赤ちゃんを産んで、誰が育てるの?遥香だって…まだ子どもなのよ。子どもが子どもを育ててどうするのよ…」


お医者さんは…

「そうです。遥香さんは、まだ15歳で赤ちゃんを育てることはできません。それで、今から赤ちゃんのことを皆さんで話し合っていただきたいのですが…」

私の知らないところで。赤ちゃんの行く末が決められようとしていた。

「母親にも父親にも経済的にも身体的にも子どもを育てられないと判断された時は赤ちゃんは施設に預けられます。遥香さんは15歳なので…赤ちゃんを育てることは無理です。ご両親が協力していただけるなら話しは別ですが…」
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