愛されて
国語・数学・理科…
授業が終わるごとに答案用紙が増えていった。

4時間目は…体育だった。

体育から戻って来ると。黒板に誰かの答案用紙が貼られていた。

見てみると…
綾の答案用紙で、数学の答案用紙だった。
点数は51点。

「何が…頭がいいんだよ。51点だってー」

「あいつ、バカじゃん」
黒板の前で。
男子たちが笑っていた。

そこに…綾が教室に1人で入って来た。
「これ…落ちていたよ。綾って、頭悪いんだね…」
この前の仕返しのつもりなのか。
真穂が言った…

綾は真穂から答案用紙を受け取ると。
ぐちゃぐちゃにした…

「あのさ…私はあんたたちと友だちじゃないんだから、気やすく“綾”って呼ばないでよ…」


放課後。
私は…バレー部の顧問である数学の川本先生に呼ばれた。

「再来週の日曜日、北中と練習試合をすることになった。お前と綾で作戦を決めて…練習するように…」

「はい…」

困った…
私と綾とで作戦を決める?
無理だよ。

作戦を決めるってことは綾と話さないといけない。

でも、綾と話すことはムリ…


「綾はどこにでも…アタックを打てるからな…」
川本先生はそう言った。
職員室を出て、体育館に向かった。
< 25 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop