愛されて
体育館に入ると。

綾がいた…

綾は私の前まで歩いてくると…
“バチン”
と私の頬を叩いた。

“何?何で私が叩かれないといけないの?”

綾は…
「私に部活辞めてほしいなら、そうはっきりと言えばいいでしょう?こんなことして、卑怯だよ」
私にズタズタに切り裂かれた…体操服を投げつけた。

「私…何もやってないよ…」
かろうじて言えたのはそれだけ…

「あんたしか、こんな事するしか思えないもん」

綾の言葉に…
雪と麻美が…

「遥香がそんなことをするはずないじゃん…」

「そうだよ…」

綾は…
「遥香は私に脅えているのよ…私が遥香より、バレーが上手だから、部長を私にとられるのではないかって…」

「私…バレー部、辞めるから…下手くそなあんた達に付き合っていられないもん」

綾はそう言うと…
体育館を出て行った。

残された私たちは…

「本当に自信過剰…」

と呆れていた。


だけど。
綾が部活をやめたことで…
イジメが私に向けられるなんて。
思ってもみなかった。
< 26 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop