愛されて
「お母さんが…遥香をかげで甘やかすから…こんなことになったのよ…」
ママがおばあちゃんに責任転嫁した。

「由香…あなたは遥香がなぜ、妊娠のことを黙っていたか分かる?それを考えたことある?」

「あるわけないじゃない!!」

ママが怒鳴った…


ママはずっと思っていた。
“どうして…こんなことになったんだろう?遥香が女子大付属に合格すれば…全てがうまくいくはずだったのに。どうして?”

大人になれないまま、子どもを産んだママも…
自分のことで精一杯だったのだ。


「遥香は…妊娠のことを言って、あなた達に嫌われたくなかったのよ。女子大付属に合格して、あなた達を喜ばせたくて…ずっと我慢していたのよ…辛かったと思うわよ」

「本当に子どもよね…女子大付属に合格したら、ママもパパもおばあちゃんも赤ちゃんを産んでいいと言うと思っていたって…」
おばあちゃんが悲しそうに笑った。

「遥香は一生懸命だったのよ。あなた達に認めてもらおうと…期待に応えようと一生懸命だったのよ…」

「だから…何だって言うのよ!?お母さんまで…私たちを責めるの?だったら、帰ってよ!!」

立ち上がって、怒るママをパパが

「由香…」
と止めた。


「遥香がどんな気持ちだったかなんて…関係ない。私たちは…遥香のことは許さない。もう、私たちの娘ではないから…」

ママはそう言うと。
リビングを出て行った。
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