愛されて
「さぁ、いくよ…」
綾が変化するサーブを打つ。

最初はボールに触れるぐらいで打ち返すことができなくなった。

だけど、練習していく度に…
打ち返すことができるようになってきた。

それよりも…
今まではレシーブでさえ、まともにできなかった1年生が…
力強いレシーブを返すようになってきて…

私は驚いた。


朝練も始まって。
放課後の練習も7時まであることになった。

7時まで練習というと…
塾には間に合わない。

だけど。
みんなが一生懸命に練習している中、1人だけ帰るわけにはいかなかった。

その日、私が家についたのは7時30分。

「ただいま…」

「何、やっていたの?」

ママが私の頬を叩いた。

「部活…」

「部活って!?塾にまで遅れて行くほど、部活って大切なの?そんなに部活が大切なら好きにしなさい…」

ママが言った。

ママ、今の私にとっては…
部活の方が大切なんです。

だって…塾は。
これから何回もいける。
だけど。
部活が出来るのは後2週間。

みんなと一緒に頑張りたい!!

そう言いたかった…

でも言ったって…
しかられるだけ。


私が黙っていると。

「遥香みたいにママの言うことがきけない子は、出て行きなさい」

と言った。


ママは分かっているのだ。
私が家を出て行く勇気がないこと…
私が謝るって…

その日の私は…
いつもと違った。

ママに反抗したかった…
なんで、そんなことを思ったのかは分からない。

だけど…
私の気持ちを分かってくれないママに苛立っていた。

私は…
「分かった!!出て行くよ」
と家を出た。
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