愛されて
ママが私を迎えに来た…

ママは私を見るなり。
「家出するなんて…本当に遥香は悪い子よ!」

悪い子でもいい…
だって…私は本当に悪い子だから。
ママやおばあちゃんの期待にこたえられなかった悪い子。

「ごめんなさい…」

私は謝った。

「最後に謝るぐらいなら、何で早く帰ってこなかったの?今日は塾の日だって分かっていたでしょう?」

「ママにお願いがあるの…」

「何?」

「あのね…私、今は部活が楽しいの。部活を頑張りたいの。今、みんなが一丸となって頑張っているから、塾のために1人だけ早く帰ることはできないの…だから、しばらくは塾を休ませて欲しいの…」

言った。

「遥香、あなたは自分の立場を分かっていないわね…遥香はそんなお願いが出来る立場じゃないでしょう?」

ママが怒った。

立場って何?
勉強もできなくて
ダメで悪い子の私は…
自分の意見も言えないの?

「夏休みになったら…きちんと塾にも夏期講習にも行くから…お願いします!!」

「許してあげたら?遥香がこんなに由香にお願いするなんて初めてじゃない?たった2週間ぐらい、塾をやすんだって…」
歩ちゃんが言った。

ママは歩ちゃんを見て。

「歩香姉ちゃん、いい加減なこと言わないで!!塾を休んだら、勉強についていけなくなるでしょう?そしたら、受験にも響くじゃない…」

と怒った。
ママは歩香姉ちゃんに言われたことが悔しかったのか…

「それよりも歩香姉ちゃん、自分のことを心配したら?」

「なに?」

「中間試験の問題、3年生にしては簡単すぎるって…お母さんたちが言っていたよ…」

「簡単で当たり前じゃない?だって、あれは2年生の時に習う単元だもん。遥香たちの2年生の時の英語の先生が終わらせられなかったから、私が引き継いだだけで。教頭先生も知っているよ」

ママは歩香姉ちゃんに言い返されて、悔しいみたいで…

私に…
「さぁ、帰るわよ」

「イヤだ。帰らない」
私は言った。
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