愛されて

「ちょっと来てよ…」
私は女子トイレに連れて行かれた。

トイレの中には…綾と真穂と麻美がいた。

私の手を真穂と麻美が
突然、掴んだ。

“何？”
と思った瞬間。
さげていた鞄を聖がゴソゴソと開けて。
中から…通知表を取り出した。

「じゃ〜ん。ばい菌マンの通知表」
聖が綾と一緒に私の通知表をのぞく。

私たちの学校は5段階評価。1が最低で5が最高。

「4…5…5…4…」
綾が読んでいく。

「何で…ばい菌マンが5をもらっているんだよ！」
そう言うと…
綾が私のお腹を蹴った。

「こんな…ばい菌マンの通知表なんかこうしてやる…」

そう言って。
綾と聖が踏みつけた。

「あんた達もやりなさいよ…」
真穂と麻美がやって来て。
綾たちと一緒に通知表を踏みつけた…

通知表は足跡で真っ黒になり…
ところどころ、破れかけていた。

それで…終わるだろうと思っていた。

しかし、聖たちは…

トイレの窓を開けた。
校舎の裏側は川になっている。

「ここから…これを投げ捨てたら…川に入るでしょうね…」
綾が笑いながら言った。

「やめて」

「それだけはやめてよ!!」
私が叫ぶと…

綾が
「うるさい…」
と怒鳴って。
私の頬を叩いた。

綾は聖に…
「投げちゃいなよ」
と言うと。

聖が窓の外に…
通知表を投げ捨てた。