君と、ずっと。
†雅斗side†


パタン


「はぁ…英里のやつ…」


赤く熱を帯びた自分の顔が鬱陶しい。

英里…なんであいつ、あんなに…可愛くなってんだよ。

ドクッ

規則正しい鼓動が速くなって、音も大きい。

ぎゅっ

制服のYシャツを掴む。

んだよ…この音。

何か、痛くねぇ?

あーっ…心臓病とか!?

いや…原因不明の病…とか?


「くそっ…んだよ、まじ…」


俺はドアの前で座った。


「恋に悩む、中学生?」


声がする方を向くと、兄貴がいた。


「…兄貴」


俺は弱々しく言った。

ぽんっ

兄貴が俺の頭に手をのせる。


「雅斗、悩め」


「…はぁ!?」


兄貴を見ると優しい笑顔で、俺と同じ視線になるようにしゃがんだ。


「俺も…悩んだ。悩めば悩むほど、『答え』に近づく。だから…雅斗も英里ちゃんに素直になれ」


「俺はっ…英里になんてっ」


俺は焦って否定した。

名前を聞く度、言う度…胸が痛むのに。

もうこのときから、英里は俺の中で一番大きい存在だったんだ。

兄貴、さんきゅ。


「バレバレだっつーの」
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