詩音〜utaoto〜
「お母さん、そんな謝る事じゃないよ。ね、先生?」
私は終わりのなさそうな二人の会話を遮ろうと、間に割って入る。
「詩子……、お前の話をしてるんだぞ?」
先生はまたため息をつく。
「分かってるけどさぁ、高校とかよく分かんないんだもん」
「詩チャン……!」
母が困った顔を赤くして私を注意する。
「まったく、詩子といい、音也(オトヤ)といい……。お前達は揃いも揃って……」
私は先生のその一言を聞き逃さなかった。