詩音〜utaoto〜
「なんだなんだ?朝から騒がしいなぁ」
遅めに起き出した父が階段から下りてきた。
うちは自営業だから、父は私達が学校に行く頃に起きてくる。
「お父さん、おはよう。じゃ、行ってきま〜す」
「おう、気を付けてな〜」
いつものように父に挨拶をすると、私は家を飛び出した。
後ろから音也もついてくる。
「詩チャン、待ってってば〜」
私達のいつものやり取り。
大丈夫。
普段通り。
私は少し緊張する気持ちを落ち着けながら、学校へと向かう。