詩音〜utaoto〜
「詩子、おはよ〜」
そう言いながら、校門で手を振ってるのは3年間一緒のクラスの五十嵐実夕(イガラシ ミユウ)だ。
何でも話せる一番の仲良し。
「おはよ、実夕」
「おはよ。音也クンもおはよう」
「……おはよう、五十嵐さん」
女子と話すのがあまり得意ではない音也は、少し俯きがちに小さな声で挨拶する。
「じゃ、僕行くね」
「うん、じゃあね」
音也はそう言うと、小走りで昇降口へと先に行ってしまった。