詩音〜utaoto〜




「音也クン、慣れないねぇ?」


クスっと口の端を上げて、実夕は大人びた笑顔を見せる。


私と違って背が高くすらりと伸びた手足が、大人っぽさをさらに印象づけていた。




「あんな奴のどこがいいの?」




私は常々疑問に思っていた事を口にする。




「え〜、母性本能くすぐられる感じ?」




黒く艶のある長い髪をサラリとなびかせ、首を傾げながら実夕が答えた。


眉毛の辺りで切り揃えられた前髪が微かに揺れる。




綺麗だなあ―…。




同じ女でありながら、一つ一つの仕種があまりにも綺麗で見惚れてしまう。




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