詩音〜utaoto〜
「はぁ……」
ため息をついて、席に着く。
……まいったなぁ。
告白された訳でもないのに私ってばすごい動揺してるよ。
実夕、変に思ったよね?
橘はどう思ったかな?
私が机に突っ伏して思い悩んでいると、橘が私の机をげんこつでコツンと軽く叩いて前の席に座った。
そして、振り返って小さな声で
「昨日はゴメン……」
と呟いた。
周りにいるクラスメートには聞こえないくらいの小さな声で。
橘なりに私に気を使ってくれてるのかと思うと、少し気持ちが温かく感じるような気がした。