詩音〜utaoto〜
その後は、学校や家での様子を三人で話して三者面談は終わった。
慣れない面談は私には少し息苦しくて、これから迫り来る初めての”受験”が私の肩に大きくのしかかってくるようにも感じた。
深々とお辞儀をする母を横目に私は教室を出た。
そこには次に面談をする野上(ノガミ)が壁にもたれ掛かって待っていた。
廊下には順番待ち用にパイプ椅子が2個並んでいるのに、そこには野上のお母さんだけが座っている。
「片瀬、何か言われた?」
野上も初めての三者面談に緊張しているらしく様子を探ってくる。
「ん〜、大した事ないよ?」
志望校について呆れられたなんて事を話すのは面倒だったから私はそう答えた。