詩音〜utaoto〜
それにしても音也が志望校に”私と一緒”と書くとは思わなかった。
いくら姉とはいえ私だって同じ中学3年生。
どこに進学したらいいかなんて音也と同じくらい分からないのに。
まったく、いつまで私の後を付いてまわるつもりよ!
音也は昔からそうだ。
何をするにも「詩チャンと一緒ね」って、私が女子高を選んだらどうするの?
……と考えて、一瞬女子高に迷い込む音也の姿を想像したら無性に笑えてくる。
「キヒヒ……、ある意味面白いかも」
独り言。
誰もいない廊下に私の声が響いてるような気がして、少しだけ恥ずかしくなった。