群青世界 ~忘れられた空の色~
「僕は葉月が好きだ!誰にも渡したくない!」

腕を激しく引き寄せられた。意外とがっしりした身体に支えられて、葉月は身震いする。こんなにも近くに彩己を感じている。心臓の音が聞こえやしないか。溶けてしまいそうだ。

「葉月はどんどん可愛くなっていく。だから僕は不安で…他の男の手に渡るなんて考えただけで胸が張り裂けそうで…」

こんなにも、取り乱した彩己を見たことがあっただろうか。じんじん痛む手首の熱さを忘れて、葉月はされるがままになっていた。
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