秘密のアイドル~仮面カブリノオ姫様~上
「この不埒男!!」
頭に血が昇る。
「俺のどこが不埒なんだよ、あのキスは……あのキスはそうゆうんじゃねぇよ……」
言葉に詰まってうつ向く緋山匡。
でもそんなうつ向きも一瞬で。
「第一、あんな所で誘惑してくるお前が悪いんだ!!」
はぁー!?アタシのせいですかい??言い度胸……って言い返そうとしたらまたスタッフに呼ばれた。
「おーい、お二人さんカメリハ入るよ~!!」
……出番だ……
またこの男とカメラの前でいちゃつかなければならない……
「はーい」
返事して、位置に立つ。
セリフはアタシ、志月から。
深呼吸する。
「カメリハよーい」
3、2、1
「貴方みたいな貧乏人に私の気持ちなんて分かるわけないでしょ…」
緋山匡から顔を背けて2、3歩歩き出す。