ろく


「……い! おいってば! 優子!」


ろくの声に我に返る。

しかし、猫に呼び捨てにされるとは。


−すみません。ボーってしてました。

「いや、いいんだけどよ……。で、どうした? おいらに話てみねえかい? まあ、話さなくても探ればわかんだけどな!」


そうだった。

こいつらには人の心を読む能力があった。


「勘違いすんなよ! 心の中に降りて行けば確かにわかる。だけどな、いくらおいら達でも、そこまではしねえ。安心しろ! 誰にも言わねえから!」


いや、誰に喋るというのだ。
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