ろく
ろくと別れると、ほどなくして路地は終わった。
路地の先は普通の道路になっており、私の行きたいところとは違っていた。
地図を確認する。
どうやら道を一本早く曲がってしまったようだ。
この路地には入る必要がなかった。
私はろくがいないか注意して、今来た路地を戻る。
あれほど静かだった路地は、工場の騒音と家々からの生活の音が溢れ、まったくの別世界のようだった。
別世界といえば、あれほど茂みで涼を提供してくれてた木々も、機嫌を損ねたのかどこかそっぽを向いてしまい、路地の殆どに日が当たっていた。