ろく

春になった。

冬の間の鬱々とした気分を振り切るように、私は路地へ向かう。

その途中、路地を訪れる際に必ず寄っていた、家族で経営し、23時には閉まってしまうような小さなコンビニエンスストアへ入る。

魚のように臭いがするものは前回の件で懲り、ソーセージのようにポケットに隠せるものをいつも買うためだった。
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