ろく

くしゅん!

ろくがクシャミをする。


−風邪ですか?

「う〜ん……。最近な咳とくしゃみがよく出るんだよな。風邪かな? 少し、声が出し辛えんだよな」

−まだ傷が治ってないんじゃ……

「心配してくれてあんがとな! だけどこれは怪我とは関係ねえよ! 風邪だ! 風邪! 寝てりゃあ治るさ! なんてったって、猫は寝るのが仕事だからな!」

−ねえ、ろく。私、ろくに会いたいときはどこにくればいいですか? ここは、あの時みたいに、気軽に人間が来ちゃだめなんですよね?

「ああ、そうだな。あそこに来てくれりゃあいい。乾物屋」

−乾物屋?

「あ? さっきお前さん来てたじゃねえか。おかみさんも良い人だったろ?

−ああ、コンビニのことですね。

「コンビニ? 最近じゃ乾物屋のことはそう言うのかい?」

−乾物屋と言うか、どちらかと言うと、よろず屋では?

「あ? 馬鹿言っちゃいけねえよ。家じゃあ、乾いたもんばっか売ってっぞ? 乾物屋だろ?」
< 91 / 113 >

この作品をシェア

pagetop