眼鏡のすすめ
ファミレスの焼酎は薄い
腐った野郎。
このありふれた手垢にまみれた形容詞がぴったりな男たちが、ファミレスのテーブルを囲んでいる。
その数、四人。
四人ともうつむきがちに視線を斜に逸らし、薄い芋焼酎を飲んでいる。
彼らが人と話すときは、よく見て相手の鼻までだ。
それでも会話は弾んでいる。
「こんどお金をもらうんだ」
「いいじゃん」
「どこで?」
「琢磨がくれるって」
「またおめえ、琢磨をいじめたん?」
「ちげーよ。琢磨に給料日はいつかな? って優しく訊いたら、十万円用意してますって琢磨から言ってきたんだよ」
「くれるっつーならもらわねえとな」
「だよな」
そして四人は目を合わさずに笑う。
彼らのような人種が人と目を合わせるのは、ガンをつけるときだけだ。
普段は仲間とさえ目を合わせないのに、気に入らない奴を見つけると無理やり目が合うまで睨みつけ、相手が視線に気づいて目を合わせると、因縁をつけ金をせびる。
金が出るまでは殴る蹴るも厭わない。
まさに腐った野郎たち。
なにが彼らをそうさせたのか。
教育? 政治? 格差社会? バカな大人? 夢のない子供時代?
そんな彼らにおれは言いたい。
眼鏡をかけろ! と。
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