男装ホスト.Lie ~私の居場所~
もう、あそこには帰れない。
正体がバレてしまえば慎さんに迷惑がかかる事は分かっていたし、辞めようとは思っていた。
ただ、凌さんが受け入れてくれた事が嬉しくて。
だから、甘く考えてしまったんだ。
…微かに揺れる自分の影に視線を落としていると、人の気配を感じた。
見上げるとそこにはジーンズ、パーカーを着た長身の男性が立っている。
帽子を深く被っているその人の顔は見えない。
…何故かその時ふと昔の記憶が頭を掠めた。
そう言えばこうやってブランコに座る私を迎えに来てくれた男の子がいた。
あれは誰だったかな…
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