男装ホスト.Lie ~私の居場所~
「で?ちゃんと買うてきたんやろな?」
雅「…あ。忘れた」
「何でやねん!お前…一時間待ったんやで!低血糖で死んでまうわッ」
雅「大丈夫。人はそんな簡単に死なへんよ」
彼が消えた部屋からは、雅さんに何やら文句を言う男性の声が聞こえていた。
それに淡々と返す雅さん。
…私、帰った方がええんとちゃうかな。
『あの…』
雅「あ、入ってきて」
『やっぱお邪魔じゃ…』
雅「ええって。何回も言わせんといてよ」
『でも……あれ?』
雅「ん?何?」
『誰かと…話されてましたよね?』
雅さんごしに部屋を見回すけど、誰の姿も見えない。
頭までイっちゃったかな、私。
雅「…目の前に」
『え?』
キョロキョロする私に気づいてか、対面していた体を雅さんは横にずらした。
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