男装ホスト.Lie ~私の居場所~
雅「…行く宛はあるん?」
沈黙を破るように雅さんが口を開いた。
『いえ…』
雅「なら、しばらくここに居れ」
『はっ?』
由「…そうか」
雅「男として、行き先がない女の子を外に放る事なんて出来ない」
『で、でも!』
雅「でも、やない。嫌なら家に帰る。どっちの案も断るなんて許さへんよ」
『雅さん…』
由「…そのうち、気も変わるかもしれへんしな」
『でも迷惑を掛ける訳にはっ…』
雅「迷惑なんて由樹に掛けられなれてる。一人増えようが変わらんわ」
由「何やそれ!」
雅「それともココがどうしても嫌って言うなら、由樹の家でもええで」
『いえっ!…本当にここに厄介になってええんですか?』
由「…何やそのさり気ない拒絶は」
雅「うん、当たり前。言い出したのはこっちやで?」
『…すみません』
由「…翔央?また間違えてるで」
『…はい、…ありがとうございます!』
何でみんな、こんなに優しいんだろう。
私なんかに。
私みたいな人間に。
.