男装ホスト.Lie ~私の居場所~
陽が落ちて
『…』
いつの間にか陽は傾いて、窓の外には綺麗なグラデーションの空が見えていた。
いつもなら、店に行く準備をしてる頃やねんけど…
そんな必要も資格も、私にはもうなかった。
『…はい?』
…不意に、ノックの音がしてドアが開いた。
雅「ああ、起きてた?」
『はい。…すみません、1日ベッド借りてしまって』
聞きたい事はたくさんあったけど、雅さんにまずしっかり休むようベッドに促され、私は1日休眠していた。
おかげで具合はすっかり良くなったみたい。
雅「顔色も良くなったな。…俺はそろそろ店出るけど」
『…はい』
雅「この家、好きに使ってええから。後、勝手に居なくならんといてな」
『はい』
雅「何か欲しいものとかある?」
『…大丈夫です。ありがとうございます』
さり気なく気を回してくれる雅さんが、女性から見て魅力的なのはここへ来て改めて感じる。
優しいなー…
雅「そっか。…なら行ってくるな」
『はい。…頑張ってくださいね』
雅「せやな…昨日休んでもうたから頑張らな…」
『え?』
雅「ほな、行ってきます」
『あ、はい。いってらっしゃい!』
昨日、雅さん居らんかったっけ?
そう言えば凌さんが指名率一番やったって騒いでたかも。
…老化するには早すぎるやろ、自分。
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