男装ホスト.Lie ~私の居場所~
晴「ひ、比呂さんっ!」
比「んあ?」
晴「すみませんでした!」
比「何が」
晴「さっきの…あの…」
比「…お前、やる気がないなら早よ辞めてまえ」
晴「えっ…」
比「客に失礼や」
晴「っ…」
客足が途絶えた頃、控え室に向かう比呂さんを追いかける晴樹が目に入った。
確かに、今日の晴樹は心ここに在らずで…
比呂さんの言う事も最もだと思った。
晴「すみません…」
比「別に俺に謝られても。何もないし」
晴「はい…」
比「でもほんま、やる気ないならさっさと辞めろ」
晴「ない訳じゃっ」
比「じゃあ今日のはなんなん?説明せえや」
晴「そ、れは…っ」
比「…」
晴「っ…く…ヒック」
ああ…泣いてもた。
光「比呂さん…イジメちゃ駄目ですって」
比「別にそんなんちゃうわ。…泣くな!煩わしいな」
晴「はっ…ぅっ…すみませっ…」
光「晴ー…ほら、比呂さんも嫌いで怒ってんとちゃうねんから」
晴「すみま、せっ…俺が悪くて…っく…弱いからっ…」
光「…」
比「…お前の事情なんか客は知ったこっちゃないねん。仕事に私情を持ち込むな」
晴「は、ぃっ」
比「どーせ、翔央の事でそんな腑抜けになってんねやけど、男ならもっとどっしり構えとけ」
晴「ビクッ!!」
晴の背中を撫で比呂さんの言葉に耳を傾ける。
翔央、その名前が出てきた瞬間、晴の体が震えた。
.