男装ホスト.Lie ~私の居場所~
凌「もう…この店の飴と鞭は鞭のが強力なんやからあ…」
隼「何?」
凌「飴と鞭…光輝さんと比呂さん、やん」
隼「あぁ…確かに。…?」
珍しく的を得た事を言う凌に相槌を打ち、表の看板を下げに出た。
目の前には女。
ちょうどうちに入って来ようとしていたのか、出てきた俺らを驚いた顔で見ていた。
……こいつ…夜の世界の人間やな。
同業者や、見た目と匂いで分かった。
隼「お客さん?」
「え?あ、まぁ…」
隼「悪いな、今日はもう店仕舞いや」
「そう…」
首を傾げ留まる女。
帰らないのか?
「…雅くん、まだいるかな?」
隼「は?」
ああ、こいつにゃ見覚えがある。
ここ半年位、雅指名で出入りしてる…名前はなんてったかな。
「会いたいの」
隼「だから今日は終わったって。また明日にでも…」
「…」
なんやねん、この女。
対応に困っていると、片付けを終えた凌が口を出した。
凌「ん?雅さん?帰っちゃいましたよー」
「帰った…?」
凌「はい~、明日は通常通り営業してます♪」
「そう…分かった。ありがとう」
凌「いーえ!また明日~」
隼「…」
コイツもたまには役に立つんやな。
でも…まだ酔ってんのか?
隼「…ってか雅はいつ帰ったんや…」
凌「え?中に居るよ?」
隼「…は?だってお前あの女に…」
凌「あーでも言わなきゃ帰らなかったやろ、あの人」
隼「…」
確かにそうだったかもやけど…
あまりにも自然過ぎて、嘘やと判らなかった。
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