男装ホスト.Lie ~私の居場所~
ベッドに横たわった捺生を見て昔を…出会った頃を思い出していた。
あの公園は、俺が雇われホストをしていた時の帰り道、よく寄っていた場所。
酒や客の残り香を家に持ち帰りたくはなかったから、雨雪の時以外はブランコに座って空を仰いでいた。
…そう、あの時は珍しく先約がいた。
それが捺生だったんだ。
慎「…捺生」
お前には言えんな。
帰る場所が無いといった捺生に、昔の自分を重ねた事に。
捺生なら信じられた。
欲望と羨望、嫉妬や怨恨に満ちたあの店には、ただ一人を除いては心を許せる人間などいなかった。
俺はずっと夢を見ていた。
信じられる奴らとの店を作りたい。
当時No.1で店を支えてて、その上にオーナーに借りがあった俺は辞めるタイミングを失っていた。
けど、捺生に出会った事が動力になった。
俺はこいつのおかげであの場所から、一歩進む事が出来たんや。
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