男装ホスト.Lie ~私の居場所~





ベッドに横たわった捺生を見て昔を…出会った頃を思い出していた。




あの公園は、俺が雇われホストをしていた時の帰り道、よく寄っていた場所。




酒や客の残り香を家に持ち帰りたくはなかったから、雨雪の時以外はブランコに座って空を仰いでいた。








…そう、あの時は珍しく先約がいた。



それが捺生だったんだ。



















慎「…捺生」







お前には言えんな。



帰る場所が無いといった捺生に、昔の自分を重ねた事に。



















捺生なら信じられた。




欲望と羨望、嫉妬や怨恨に満ちたあの店には、ただ一人を除いては心を許せる人間などいなかった。











俺はずっと夢を見ていた。




信じられる奴らとの店を作りたい。




当時No.1で店を支えてて、その上にオーナーに借りがあった俺は辞めるタイミングを失っていた。









けど、捺生に出会った事が動力になった。




俺はこいつのおかげであの場所から、一歩進む事が出来たんや。










.
< 161 / 443 >

この作品をシェア

pagetop