男装ホスト.Lie ~私の居場所~
何でこんなとこで寝てんのやろ。
そう思いながら毛布を掛けてやる。
雅「はー…しんど」
言うつもりのない言葉が思わず口に出た。
仕事は周りの奴等が好きだから続けられてる。
ただ、楽しい事ばかりじゃない。
こんな将来を、昔は考えもしなかった。
まさか自分がホストやって、しかも店の顔になってるなんて…今でも何かの夢じゃないかと思う。
まぁ…親には縁切られたけど。
あの人達の見る俺は、虚像だった。
都合の言いように曲げられた俺。
だから、その虚像に自分が合わせるしかなかった。
雅「…ふふっ」
そんなん言うて、今の俺も虚像を売ってるし変わらんなぁ。
本当の俺なんて、誰か選んでくれんねやろか。
…指名率がいくら高くても、本質を知ったらどうなるんやろう。
そんな事を考えて、仕事に行くのが憂鬱になる事がようあった。
やっぱ俺、向いてないんちゃうかなぁ…
雅「…ま、悪い事ばかりじゃないか」
長く続けてればこんな面白い奴も入ってくるしな。
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