男装ホスト.Lie ~私の居場所~



慎「…もしもし」






どうしよ、イタズラだと思われてしまう。



…それでも声が出せないでいる私に、思いがけず優しい声が聞こえた。






慎「…もしかして、翔央?」



『っ!?』



慎「良かった。無事なんやな?」








何で…?



何で、私だと分かったんだろう。








『…はい。ご迷惑、お掛けして…』



慎「迷惑とは思ってへんよ。ただ、心配はしてる」



『…ごめんなさい、俺…!!』



慎「今どこに居んの?」



『あ…知り合いの家に、お世話になっていて』



慎「友達?」



『…はい』



慎「そ、か…なら一安心やな」



『俺、店…いきなりで申し訳ないんですけど、辞めます。それを言っとかなって…』



慎「…うん。それは捺生に言われたから?」



『それもあります…けど、やっぱりあそこに自分は異質やったと、思って』



慎「…いしつ?」



『居たらいけないって、忘れてたんです』















そう、居たらいけない。




存在する権利さえ持っているのか危うい私には。






















慎「…それ決めるのはお前なん?」







電話口から厳しい声が聞こえた。







.
< 176 / 443 >

この作品をシェア

pagetop