男装ホスト.Lie ~私の居場所~
晴「そ…っか」
慎「だから心配すんなとさ」
翔央にああ言ったものの、晴樹に電話の事を伝えない訳にはいかなかった。
ほっとした表情を浮かべつつ、やはりどこか複雑そうな面持ちだ。
晴「でも…もう戻っては来ないんですね」
慎「…待とう、きっとあいつは戻ってくる」
晴「…」
慎「な?」
晴「…はい」
無理やり笑みを作ってよこす晴樹が痛々しい。
不意に、横槍が飛んだ。
凌「“トモダチ”って誰?」
慎「そこまでは聞かなかった。聞いても分からんやろ」
凌「ふぅん…分かるかもしれんのに」
慎「ん?何て?」
凌「いや…」
事情を知っている凌にも教えておくべきだと思って呼んだ。
けど、特に驚きも喜びもしていないようだった。
凌「…」
慎「凌?」
凌「…とにかく、無事も確認出来た訳やし、…晴樹!暗いで?」
晴「…すみません」
凌「大丈夫やって♪会えなくなる訳ちゃうし」
晴「…うん」
楽観的やな…
現状を重く受け取ってないだけなのか。
まぁ、凌らしくてこれはこれでええ。
けど…以前翔央が倒れた時の様子では特に気にかけてたようだったのに。
少し、何かが引っかかった。
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