男装ホスト.Lie ~私の居場所~
人を傷つけないように、生きてきたつもりだったのに。
傷つけたくなんかないのに。
雅「…勘違いさせるつもりはなかってんけど」
ハッキリ言わなかった自分が悪い。
自分が傷つきたくなくて逃げてきた結果、大事なものを傷つけた。
雅「お前はただの客やから」
雪「!!」
雅「特別、だなんて何で思ったん?」
雪「み…雅?」
雅「今までようさん指名してくれたのはありがたいけど。…お前だけちゃうし。俺の顧客、大金落としてくれる人多いねん」
雪「な、な……」
雅「悪いけどもうええわ」
雪「何…が…」
雅「目障りやねん。消えて」
目を見開いたかと思うと揺らぎ、大粒の涙が溢れた。
その場に座り込んだ雪乃を見下ろす。
雅「っ……由樹、戻るで」
由「…うん」
優しさを履き違えてた。
早く気づく事が出来ていたら、雪乃をこんな風にしなくて済んだかもしれないのに。
そしたら莉依ちゃんを傷つける事も、由樹にこんな顔をさせることもなかったのに。
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