男装ホスト.Lie ~私の居場所~
凌と別れ車の中。
妙に重苦しい空気が流れる。
そりゃそうだ。
まさか雅の家にいるなんて。
捺「…俺さ」
不意に捺生が口を開いた。
慎「…ん?」
捺「俺には分からんねん。何をどう信じればいい?」
慎「…雅はただ、匿ったつもりやったんちゃう?」
捺「雅を、じゃない。アイツをや」
慎「…」
思ってもいない、言葉だった。
慎「…それは、翔央を知るしかないんちゃうか?」
捺「知る?」
慎「何も知らなきゃ何も始まらへん。見ず知らずの奴に信頼なんか出来ないやろ」
捺「せやな…」
慎「…珍しいな」
捺「え?」
慎「いや…お前が女を気に掛ける事が。いつもなら傷つけようが何しようが放っておくやろ。それが何で?」
捺「…分からん、けど」
慎「けど?」
捺「…俺に似てるかもしれない、そう思ったから」
慎「…?」
捺「…なぁ。お前には言っとくな」
慎「何や、愛の告白?要らんでそんなん今更」
捺「アホ」
慎「はは、んで何よ」
捺「アイツ…翔央、の事やけど」
慎「うん?」
捺「俺、アイツの事知っててん。だから警戒してた、ってのもあった」
慎「は?どういう意味や」
捺「アイツ、…アイツは俺の・・・」
慎「…え」
な、に…?
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