男装ホスト.Lie ~私の居場所~
インターフォンが鳴った。
由「鍵かけたっけ?」
『あ、自分が出ます』
まだ帰ってこない章平だろうと腰をあげると、莉依が先に玄関へ向かった。
鍵、忘れたのか鈍くさいな。
立ったついでやし、出迎えしたろうと思って莉依の後に続く。
二度目のチャイムに急かされるように莉依がドアを開けた。
…と、同時に空気が固まった。
捺「…よう」
『ッ…』
由「な、っちゃん…」
思いがけない来訪者に俺も咄嗟に頭が動かない。
…と、捺生が莉依の手を掴んだ。
捺「…来い。帰るで」
『っ…や…』
由「…はっ、ちょっとなっちゃん…待って、」
捺「雅は?」
由「まだ…帰ってきてないけど…」
捺「そうか。とりあえずこいつ、連れて帰るから」
有無を言わさない口調に、俺も莉依も顔面蒼白。
どうにか、どうにかしなきゃ…
由「とりあえず手、放してやってよ」
『…っは…ごめんなさい…ッ』
由「翔央?」
捺「…」
莉依の様子が、尋常じゃない。
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