男装ホスト.Lie ~私の居場所~
いざ、本人を目の前にするとどうすればいいのか分からない。
女の扱い方なんて知らない。
捺「…居た」
地べたに座り込み、ブランコの椅子にもたれかかっている。
躊躇いつつそっと肩に手を置くと、ビクッと体を震わせ怯えきった視線を向けられた。
『ごめん、なさい、ッ…もうしません、っ…ごめんなさっ…』
何故こんなに?
俺はこんなに嫌われる何をした?
『おか、さ…』
捺「ッ…?」
違う。
こいつが今、謝っているのは、恐れているのは俺じゃない。
俺を通してこいつが見ているのは…
『ッ、はっ…はっ、ぁっ…』
捺「…ごめん」
苦しそうに泣く姿に弱かった昔の自分が重なって、自然に体が動いた。
有り得ないと思った、けど俺はこいつを抱き締めていた。
『ビクッ』
捺「落ち着いて。大丈夫やから」
『ごめっ…』
捺「謝る必要、ないから。…息、吸って。そう、吐いて」
…弱いのは今も変わらない、だから保身の為に間違ってばかり。
今もこうして一人を傷つけている。
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