男装ホスト.Lie ~私の居場所~





何故こんなことになっているんだろう。







『はぁ…はぁ…』



捺「…落ち着いたか?」



『は、い…』











捺生さんの腕の中に私はすっぽり収まっていて、うるさいくらいの心臓が聞こえる。




私の?
それとも彼の?












捺「そか。…言い訳にしかならへんけど。このまま聞いて」



『え…?』



捺「俺は母親に利用されて捨てられた」



『…!』



















親父が一代で建て大きくした会社。




名誉、富、財政。




全てを手に入れた父親が若い女をとっかえひっかえするようになったのは、仕方ない事だったかもしれない。




そんな父親を責める事なく、いつも笑顔でいる母親が俺は自慢だったし、だから家に帰る事のない父親は大嫌いだった。




「私は捺生さえいれば幸せになれるから」




そう言って頭を撫でてくれる母親が、俺は好きだった。




















捺「…俺が10の時に両親は離婚。母親が出ていく時や、本当の母親の言葉の意味を知ったのは」


















夜の公園に、捺生さんの静かな声だけが聞こえていた。









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