男装ホスト.Lie ～私の居場所～

『捺生さん…は、俺…自分の事、嫌いだったんじゃ…』



捺「嫌ってた訳ちゃうわ。…ただ、親父が俺を連れ戻す為にお前の事送り込んで来たのかと思って」



『？』



捺「俺の実家の事とか、慎にすらはっきり言ってなかったから。…他の奴巻き込んで欲しくなかってん」



『…え、と…』



捺「…意味、分かってない？」



『捺生さんの実家と自分に何の関係が…？』



捺「は？…お前、五十嵐菜穂、やろ？」



『ッ…』



















五十嵐菜穂。





その名から私は逃げて来たの。















捺「お、おい…？」



『な、何でその名前…知ってる…の』



捺「何でって、…お前も、婚約しとるやろ？」



『なっ……はい…』



捺「相手の名前は？」



『相手…確か…藤原、な…なつき…捺生？』



捺「そう。俺や」



『…う、そ』



捺「マジ。…でも安心して。大人しくするつもり、ないから」



『…捺生さん、が』




















逃げ出した先に、逃げたかった人がいるなんて、何て、皮肉。


















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