男装ホスト.Lie ~私の居場所~






雅「…慎さんが捺生さん連れてきはったんですか」



慎「何で黙ってた」



雅「…すみません」









声は普段より低く、雰囲気も違う。




…まぁ慎さんが怒るのも無理ないな。












慎「お前が早く報告さえしてくれれば…」



雅「…え、何かあったんですか…?」



慎「…」













俺の問いには答えず口を噤んで視線を落とした。




慎さんの表情、言葉が何を意味するのか全く分からない。




俺が莉依の居場所を黙っていた事で何かが起きたのか…?




それは何や。




















雅「慎さん?」



慎「…」



由「…あれ?慎さんや!どしたん?」





















リビングから出てきた由樹の声にはっとした様子で、慎さんは視線をそっちに向けた。

















慎「…由樹も知ってたのか」



雅「由樹には…俺が黙っててもらったんです。巻き込んだだけで」



由「別に雅ちゃんに巻き込まれたつもりないけど?」



雅「処分があるなら、俺に」



由「…は?」



慎「そうか」



雅「お願いします」



由「おい!、…何勝手に話進めてんの」



雅「ええから黙ってろ。…で、何があったんですか」



慎「…」
















言えない程の事が起きたのか。




ただ一人、新人の従業員がしばらく行方をくらましただけで?








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