男装ホスト.Lie ~私の居場所~
来客用の扉を開ける。
と、気の抜けた顔でひたすら玄関を掃いている晴樹の姿があった。
『晴樹、みんな呼んでるよ』
晴「…え、っ!ああ、うん、もうちょっとで行く」
『え、もう綺麗やで?』
晴「…でももうちょい。先行って」
『え?…うん』
晴「…」
背中を向ける晴樹に何も言えず、一人でまた店の中に戻った。
関わる事を拒むような態度に心が、何やヒヤッとした。
凌「あれ?晴樹は」
『もうすぐ来るって…』
雅「…おい?」
『え?』
雅「何て顔してんねん」
『え…』
不意に頬に添えられた手の温もりにハッとした。
そんな顔って…自分じゃ分からない。
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