男装ホスト.Lie ~私の居場所~
慎「コーヒーでいい?」
『あ、はい。すみません・・お構いなく』
慎「ちょっと待ちや」
『はい』
慎さんの“家”に入るのは、これが初めて。
ごちゃごちゃしてなくて、素敵な大人の部屋!って感じ。
慎「そんなキョロキョロして、何か気になるか?」
『あ、いえ、お洒落な部屋やなって』
慎「んー・・無駄な物は確かに置かないけど。はい、どーぞ」
『あ、いただきます』
うん、美味しい。
そんな隣では一口飲むなり苦いな、と顔を歪ませ砂糖を入れる慎さんが意外で、思わず笑ってしまった。
慎「笑うなやー・・あ、お前は?砂糖とフレッシュ」
『や、自分は要らないです』
慎「まじか、大人やなー・・」
『美味しいですよ?』
慎「や、あかんねん。ビールの苦さはええねんけどなー」
『あー、自分はむしろあっちの苦さはまだ分からないですね』
慎「まだまだ子供やねん。…ってあかんで、未成年がアルコール入れたら」
『はーい。…慎さんて真面目ですね』
慎「他人に咎められる様なやましい事はしないに限る。覚えとけー」
『はぁい』
女なのに、且つ未成年なのに、店に入る事をすんなり了承した慎さんは、私の飲酒を快く思ってない。
だから私に運ばれる飲み物はアルコール0なんだけど、店のみんなはそれを知らない。
…いや、みんな知ってるのかな。
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